式場に響き渡る「パァーッ」という警笛――。故人の今生の別れを告げる音のようで、悲しさが一層募る。
このクラクション音、どうして鳴らされるようになり、どんな意味があるのか?
「一般的には、火葬場まで一緒に行けない人に対するお別れの合図として鳴らされています。
しかし、その由来は昔の葬列、いわゆる“野辺の送り”にあるようです。
「野辺の送りでは、霊が成仏して再びこの世に戻ってこないよう、故人が使っていた茶碗を割る“茶碗割り”という風習がありました。
クラクションはその割る音の代わりとして鳴らされるようになったのではないか、と思われます」
“野辺の送り由来説”は、いずれも確証があるものではないが、他でも聞かれた。
「葬列の先頭で、僧侶がお経をあげながら鳴らす鐘や太鼓の音の代わりではないか」(仏教情報センター)
「葬列でお坊さんが持つ引磬(いんきん・握りが付いた小さな鐘)の音が転じたのでは」(大正大綜合佛教研究所)
霊柩車が普及してたかだか数十年。
しかし、あのクラクションには長い歴史を持つ仏教の因習の名残が隠されていたようです。
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